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秋田県由利本荘・湯沢市視察報告書

 

 

報告1 秋田県由利本荘市「市役所デジタルスポットについて」

【1】はじめに

令和5年7月18日、午後1時30分頃、秋田県由利本荘市尾崎17番地、由利本荘市役所に到着。

同市議会事務局庶務班長の佐々木朝美氏のお出迎えを受け、同市議会議長の伊藤順男(よりお)氏より歓迎のご挨拶をいただきました。

由利本荘市より、総務部行政改革推進課課長(第3セクター改革担当)(行政査察監)の小番正明氏、同課デジタル化推進班長の木内崇氏の説明が行われました。

 

 

【2】「市役所デジタルスポット」について

由利本荘市では平成17年3月に1市7町による市町村合併され、秋田県内1位の1209㎢の広さです。合併に伴い、旧町役場などに支所を配置し、5つの出張所を整備されました。

ハード面では過多状態となっているのも現実的な問題だそうです。

この広大な地域に72,000の人口であり、デジタル化を進めることにより市民の利便性を高める取り組みとなりました。

広い面積でインフラを整備するだけでも莫大な費用もかかり、あわせて人口減少の傾向が顕著に表れてきたそうです。

 

合わせて高齢化率が高く(来年には65歳以上が40%となる)、14歳未満が10%を切る少子高齢化傾向で毎年1000名の人口減となっています。

そんな中、2年前総務省から職員を派遣してもらい、デジタル化推進計画(DX全体方針)の策定にむけ動き出しました。4か年計画の全体方針を策定し公表されました。

広さの不便を克服するためのデジタル化を目指しての取組みとなりました。

幾つかの取組みが説明されました。

1.デジタル化推進計画

2.マイナンバーカード利用活用宣言と市民カード化の推進

3.キャッシュレス化の推進

4.移動市役所の実証実験

5.スマートストアの実証実験

6.空中ディスプレイの導入

等でした。

1.のデジタル化推進計画では、国の動きも日進月歩なので、あまり無理をせずにケースバイケースで行うことにしました。

2.のマイナンバーカードは1年前は40%代の交付率だったのですが、出張窓口の開設、企業訪問により、73.5%まで引き上げることができました。

さらに図書館などの利用カードと紐づけし利便性の向上につとめ、「オンライン申請サービス」等にも取り組まれています。

オンラインで申請すると、送料は利用者負担で利用できる仕組みも作られたようです。

3.キャッシュレス化の推進については、クレジットカード、スマフォ決裁など利用でき利便性の向上に努められたようです。

4.移動市役所の実証実験については、福祉分野の相談を遠隔相談しています。移動市役所は出張所を中心に各自治体など希望があれば循環し市民サービスの向上に努められています。

広い市域に対応した取り組みであると言えます。

5.スマートストアについては、働き手不足解消に向けて無人運用できる産学官で協働実験されています。その成果が期待されています。

さらに、「デジタルスポット」の稼働状況は、住民票などの証明書の発行が212件、遠隔相談実績が10件、デジタルサイネージ操作実績が2025件となっています。

今後の課題として、デジタルスポットの数を各支所に増やしながら、人員を削減し、なおかつ市民サービスの向上に努めるというものです。

遠隔相談は、担当者がテレビ電話のように相談に乗るというものですが、まだまだ利用者側の「はずかしい」「慣れない」といった問題もあるようで、地道な啓発が必要だと認識されていました。

その後、市役所に設置されている、遠隔相談、証明書交付端末、デジタルサイネージ、空中ディスプレイを見学させていただき視察を終えました。

 

 

 

報告2 秋田県湯沢市「子育て支援について」

【1】はじめに

令和5年7月19日午前10時頃、秋田県湯沢市佐竹町1-1湯沢市役所へ到着。

同市議会事務局議事総務班主任の鵜沼明日美氏のお出迎えをうけ、湯沢市議会議長の渡部正明氏より歓迎のご挨拶をいただきました。

湯沢市より、福祉保健部子ども未来課長の高山見美子(るみこ)氏、同子ども子育て応援班長の吉田典子氏、同子ども子育て班主任(保健師)の藤原美紀子氏よりご説明いただきました。

まずは、高山課長より湯沢市全体の子育て支援について説明いただきました。人口減少が著しい市であり、子育てに力をいれて人口流出を止めようとの試みです。

また、「おがった、えがった、ゆざわの子育てマルっと紹介」を用いて説明いただきました。

「おがった」=「大きくなった、成長した」、「えがった」=「良かった」というのだそうです。

その中でR4には合計特殊出生率(15歳から49歳までの女性が一人当たり何人出産するかを計算)が0.97%となり、少子化に歯止めがかからない状態である事があげられ、不妊治療助成拡充や出産祝い金制度に取り組んだりしています。

その中で以下の事業が進められました。

 

【2】産前産後家事ヘルパー事業について

令和4年事業がスタート。

事業の対象者は・・・

①妊娠中の体調不良による家事などが困難な方

②育児をしながら家事に不安のあるかた

③慣れない育児で心身の負担がある方

④家事を頼める人がいない方

などとなっています。

事業内容は・・・

①調理・食事の準備及び後かたずけ

②洗濯

③掃除、整理整頓

④買い物

⑤おむつ替えの補助、ミルク準備

⑥小学生以上の子どもの世話等

尚、赤ちゃんへの直接のお世話はできないようです、利用は12回まで(多胎の場合は子どもの人数分可)で、利用時間は90分(無料)となっています。

令和4年度実績としては6名(35回)の利用があったとの事です。

女性のヘルパーさんが来てくれてお母さんのような安心感があったなど好評である一方、利用者が少ないという課題もあります。

これについては、行政と当事者の信頼関係を築いていくしか方法はなく、保健士さんの訪問などこまめなバックアップが必要との事でした。

また事業実施は、委託業者で行われています。業者と市との連携も進めながら支援策を進めたいとの事です。

 

【3】子どもと家庭の自立応援訪問事業について

令和5年事業スタートで実績など説明はできないとのこでしたが、事業内容について説明いただきました。

事業の対象者は・・・

子どもを直接世話する方が病気などにより家事や育児等困難を生じ、支援による子どもや家庭の自立に向けた生活体制整備が適切と思われる世帯

事業内容は・・・・

①調理、食事の準備及び片付け

②洗濯

③買い物

④おむつ替えの補助、ミルクの準備

⑤小学生以上の子どもの世話 等

尚、赤ちゃんなど就学前のお子さんへの直接の世話は不可で、利用回数は、原則週2回までで、利用期間は原則3カ月、利用時間は1回90分(無料)となります。

令和5年度では3世帯分の予算が計上され、需要が高ければ補正予算で対応するというものでした。

実際にこの制度を活用する世帯はその他の支援も必要とされることも予想され、市内部で横断的、縦断的な取り組みが必要で「ケース会議」等をかいさい歳ながら進めていきたいと説明いただきました。