10月13日・14日に開催されました「全国都市問題会議」の報告書です。

長文となりますが、ご覧ください。

全国都市問題会議報告(←PDFはこちらから見れます)

 

個性を活かして「選ばれる」「まちづくり」~何度も訪れたい場所になるために~

はじめに

 令和4年10月13日、午前8時30分時頃 長崎県長崎市尾上町4−1出島メッセ長崎へ到着。

午前9時30分より開会式が行われました。

開会式では、全国市長会会長の立谷秀清福島県相馬市長より主催者挨拶があり、開催市市長の田上富久長崎市長、来賓として大石賢吾長崎県知事の代理として長崎県統括官よりご挨拶をいただきました。

 

 

 

 

 

基調講演
「民間主導の地域創生の重要性」
㈱ジャパネットホールディングス代表取締役社長兼CEOの高田旭人氏

 

 高田氏はご存じ「ジャパネットタカタ」の代表取締役で、長崎市を中心に地域密着企業として取り組まれています。

高田氏は2015年先代明氏より引き継ぎ、自由・柔軟な発想でとりくまれています

2017年からはプロサッカークラブ「V・ファーレン長崎」100%出資で地域創生の取組みをスタートさせました。

また、2020年プロバスケットボールクラブ「長崎ヴェルカ」を立ち上げ運営もスタートしました。

ボランティアでなしに事業で長崎に貢献したいという想いもあったようです。ちょうど、三菱重工が空き地で売りに出るというタイミングでもあったので、その跡地に「長崎スタジアムシティプロジェクト」を進めることになりました。

その中で意識したのは、「行政と民間の役割」という事でした。行政には公平性が求められます。

行政でスタジアム等運営すると、どうしても、自由に使えることができず「無駄」も多くなります。

一方、民間で行うと、その「無駄」も利用する価値がでてくると考えられました。

その一つが、VIP席の設置やホテルを隣接させ、そのホテルと一体化した運営、さらにはアリーナを建設し、バスケット、コンサートなどを開催できるようにすることや、商業施設を誘致しながら時間のロスをなくす取り組みを進めることによって魅力ある長崎を作り出すことに取り組みたいとおっしゃっていました。

サッカーの試合やバスケットの試合、またイベント開催時にはできるだけ長い時間滞在してもらうためのアイデアとして、長く駐車すればするほど料金が安くなるというこれまでにない発想や、年間シート購入者には高速Wi-Fiを提供し特典を提供するなど考えているようです。

さらにスタジアム、アリーナ等の非稼働日の利用法や、VIPルームをホテルとして利用するなど多様な発想で進めていることがわかりました。

さらにスタジアムなどにスタジオを設置し、試合後の公開放送も企画されており、長時間滞在できる工夫なども計画されています。

試合の日など、どうしても終了後に付近の交通渋滞が発生しますが、長く滞在されることによる渋滞緩和の効果も得られるのではないかと目論んでるようです。

またジャパネットタカタは全国をカバーしている会社です。そんな中で全国の地域創生にも取り組まれています。

その一つに、「クルージング」事業を行っています。横浜港を発着し、四国・九州・東北・北海道を9泊10日で日本を一周するものです。338,000円の料金なのですが、各寄港地で買い物や宿泊と地方に与える影響も大きく全国展開が行われています。

「人が動いてこそ幸せが生まれる」というポリシーを持って事業を展開しているとの事です。

2つ目の取組みとして、コロナ禍で休業する店舗等で扱う高級食材が廃棄されることがニュースとなったのを見て「高級食材」の通販にも取り組まれました。

「赤字になってもいいので思い切ってやってみよう」を合言葉に事業を展開し、生産者さん、生産地の自治体に喜ばれ、お客さんも喜ぶという相乗効果も出てきました。

そして今後新たに始めた事についてもご説明いただきました。

一つ目にはBS局を立ち上げました。なぜテレビ事業なのか。いいものを見つける。情報を発信する。知らない事、知られていない事を発信する。地方や地域の名所などを発信して地方創生に当たりたいとの思いがあるようです。

お散歩番組を開始し、著名人に歩いていただき、その地域を紹介してもらう取り組みもスタートしました。

二つ目にはスターフライヤーとの提携です。出発から到着までパッケージの一つと考え、大きな荷物は先にホテルまで届けることで手軽に飛行機を利用でき、地方への目も向けることができる。またテレビ局のノウハウがあるので「安全なしおり」を楽しく作り上げたいとおっしゃっていました。

その事により移動する楽しさを訴え、行動する事により地方への人の流れ、行ってみたい地域へ気軽に楽しく向かえられるようになるのではと提案されました。

最後に、企業の立場で地方創生を本気で行政と進めたい。若手起業家で地元に貢献したい経営者も沢山いるが、何をしていいのかわからないと言われます。

また行政でも地元を盛り上げたいという想いを持った職員も沢山いるので、これら企業側と行政がタッグを組んで進めることが重要であると提起され講演をまとめられました。

 

主報告
「長崎市の魅力あるまちづくり」
 長崎市長 田上 富久氏

 長崎は、港があったから長崎の歴史があり、その歴史を踏まえて行政だけが行うのではなく、企業とタッグを組んでいくことが重要である。

そんな中で都市部の機能を落とさないようにしなければならないし、元気な街であり続けようと努力することが大切であるとおっしゃっていました。

長崎市は狭い空間の中で色んな機能を持たした「まちづくり」を目指しています。新幹線「かごめ」がやってきました。新幹線と在来線が混じっているホームがあるのが長崎駅で、全国唯一だそうです。コンパクトな「まちづくり」を目指しており、駅舎は夜景にも損なわないデザインをと心がけたようです。

そんな長崎駅を中心とした「まちづくり」が進められています。

市民にも貢献できるまち「長崎」を目指して、ツーバス化を図っています。埠頭を倍の広さに整備し、海の玄関に。陸の玄関として新幹線を活用した長崎を創っていきたいと考えられたようです。

「まちづくり」を進めるにあたって「歴史に学ぶ」視点が大切で少し振り返られました。

「港あり 異国の船をここに招きて 自由なるまちをひらきぬ 歴史と詩情のまち長崎 世界の長崎」古賀十二郎氏の言葉が長崎の本質を突いた言葉であるとおっしゃっていました。

交流しながら発展した町。しかし交流の形が時代と共に変わってきました。昭和の観光都市として生きてきたが、21世紀の交流都市として進化してきたように思えます。

会議・イベント・スポーツを楽しみに交流の幅を広げていこうと21世紀の交流都市の考え方や中核都市ての体制も変えていこうというコンセプトがあります。

市が作戦の中心でしたがDNOを作って民間のプロ人材を登用してデータ撮ったり新しい取り組みの分野決めたりしながら公共の在り方も変わってきました。

【価値をみつける】

もう一度町の価値を考えてみる機会も多かったようです。母屋の魅力を高めようという取り組みが始まりました。

参考にしたのが、湯布院の「まちづくり」

別府が栄えているときに閑古鳥が鳴いていた湯布院。 自分たちのまちの、緑・空間・静けさこそが自分たちの町の価値があると考えたようです。

その成果で全国一、行きたい場所となり、「静けさ」の議論ができる事が素晴らしく「静けさに価値がある」に気づくことも大切であると提案されました。

また町の価値を考えるときモナコも面白いと。世界新三大夜景に選ばれたことを契機に交流がスタートされました。

モナコは安全が守られたまち。資産を守る町。犯罪の抑制された町。F1の町であります。なぜF1が開催されるのか。「できない事をやるから価値がある」との考えで国民を巻き込んで個性を強みに取り組まれています。プラスにするかマイナスにするかは住民がどう取り組むか、どう考えるかが大切であるとも言われました。

長崎にクルーズ船がやってくるのは大陸に近い(中国に近い)という個性を強みにすべきとモナコから学んだとの事です。

【価値にきづく】

長崎ではH16年に恐竜の骨が発見され、H22年化石と断定されました。魅力がないよというより、あるよという「まちづくり」が大切と教えてもらいました。

沢山の恐竜の骨を展示される恐竜博物館を建設。

その建物の建設のコンセプトに外とつながっている建物というのがあり軍艦島をバックにし一体化した博物館が建設されました。また長崎とオランダのつながりを示す博物館であり、周辺に恐竜の形の遊具を整備した子ども広場をつくり、恐竜バーガーを考案し販売を開始しました。

また、軍艦島においては、地元ではさほど価値のあるものだという認識はなかったようです。

昭和49年閉山されましたが外国からたくさん来るとは予想していませんでした。正直、世界遺産にという動きがあったが、「無理だろう」と思っていたが、実際H27登録されました。

私たちが気づいていない価値が町の中にある事に気づかされたものです。

また、長崎にはたくさんの教会があります。教会が世界遺産になるとも思っていなかったようです。

地元で気づかない・気づいていなかった事は「世界遺産」に認定され知れることになりました。

さらに「価値」に気づくために「長崎さるく」がスタートしました。「さるく」はぶらぶら歩くという意味だそうです。

歩いていると町の中に物語が眠っているようで、ある市民は「市民はコースづくりはするがガイドはしないといっていた。が、あまりにも面白すぎて話さずにはいられない」という現象がおこったエピソードも紹介されました。

こうした取り組みの3分の1は観光につながり、3分の2は「まちづくり」につながる意識をもって進めていました。

大村市の市長さんが「素通りからストーリーのある街へ」と訴えられました。「さるく」は正のその活動だと考えています。

【価値を磨く】

景観専門官制度を設立して10年がたつそうです。鍋冠山展望台のバリアフリー化をはじめ、出島表門橋の架橋にも取り組みました。

出島表門橋については3つの課題をクリアーしなければならず歴史的価値を残しながら景観も損なわないように配慮されました。

出島は歴史的価値のあるもので、これまで橋を渡って出入りができなかったのですが、橋を架ける事でより当時に近いものとなったとの事です。

3つの課題とは

出島本体は歴史的価値があるので、工事による手出しはできない。

河川法の関係で橋脚は一つだけと決められた

出島より目立ってはだめだ

というものでした。これを何とかクリアーして実現したものであります。この取り組みを通じて高尾専門官には職員を景観を守る視点で育ててほしいとお願いし、役所の制限を突破してほしいともお願いしたようです。

また、レンガ造りの修道院もあり、直近では児童養護施設として利用されているのですが、この外観をいかに残すかが課題となり、民間企業の皆さんの知恵をもらいながら進め、再来年開業することになり、その改修にも風景にあった物をコンセプトに進められています。

【価値を生み出す】

高田社長のスタジアムプロジェクトをはじめ長崎大学BSL-4がスタートしたのも価値に当たります。

世界に貢献する長崎。感染症に対応する長崎の価値が上がる。それによって企業誘致もすすむ。

大学の存在が大きいと。

さらに若い人たちが泊まれる、仕事しながら泊まれる制度つくりに取り組んでいます。

「さかのうえん」坂と農園をかけた取り組みが進み、危険家屋の除却後の跡地を若者が農地を作成しながらコミュニケーション図る取り組みも進められています。

企業に「なぜ長崎を選んだのか」と尋ねると「地域課題があるから」と答えられ、「課題」がチャンスとなると考えられているようです。地域課題を資源ととらえ価値を気づくためにもその意見を聞き、見ることが大切とおっしゃっていました。

長崎で根付き暮らす「土の人」と、その町を訪れる「風の人」が町を感じ、交流する事ではじめて町が形成されるように思われます。

「風の人」は若い世代のようだ。若い世代の知恵ネットワークを加えて実現する。長崎らしい町を創っていきたい。丁度代さの長崎を創っていきたい。長崎ライフをめさして「まちづくり」を進めていと考えられているようです。

以上の報告を受けて終了いたしました。

 

一般報告
「何度も訪れたくなる場所 都市の新たな魅力関係人口」
 島根県立大学地域政策学部准教授 田中輝美氏

 「地域との新しい関わり方・関係人口」からテーマが変更されました。

鳥取県の過疎地での取組み。オンラインが浸透したおかげで、週末住民の会が誕生しました。

週末に通って楽しむことをコンセプトに取り組まれました。

その中で「人口をシェアしよう」という考えもあるようです。人口を取り合っても仕方がない。共有することによりお互いが役立つという考え方です。

「草刈り応援隊」の取組みも企画され、目標50人と設定。仕事はただ草を刈るだけですが、地域住民との交流も進み、通ってくる若者も楽しい企画となったとの事です。

コロナ禍ででも自己責任で通ってもらえるようになりました。

邑南の町では廃墟の駅のライトアップを行い、イルミネーションで働くツアーを開催。準備作業などは地域住民外で行い地域住民との交流を図られました。

宇津井駅を中心としたイベントでは、廃線後の線路にトロッコ列車を整備し運営等も地域住民以外がかかわれるような仕組み作りも取り組まれました。

なぜ若い世代が通ってくるか?名前が覚えられる規模が丁度良く、量より質を求め取り組みを企画することが大切であるとおっしゃっていました。

準備から後片付けまでかかわる事により地域住民との接点が増えます。お客様は神様で、打ち上げまでも一緒にすることにより、一層親密さが増すとの事でした。

その際忘れてはならないのは住民の背景を伝える事だとおっしゃっています。

若者の個性の多様化によって人とつながる事が求められておりその情報を発信することが大切であると提案されました。

現在東京で起こっていることは、東京生まれ東京育ちが多く「故郷難民」と言われています。顔見知りが少なく、生まれ育った町に愛着も持てない若者。

これまで「自由を求めて東京・大都会へ」から「故郷を求める」に変化してきた若者たち。

Z世代は「持続可能な環境を求める」という機運もある。大都会1300万分の1人と66万人分の1人ではどちらが一人に対する存在感があるか。

そういった考えの若者たちが週末、都会を離れる傾向にある。

中には、休学して1年インターシップで訪れる学生もいるそうです。

一方「関係人口」という言葉は、2016年頃より使われた概念。都市も地方も人口は減少し、双方に課題があるようです。

現在では、移住定住合戦の傾向がある。お得合戦による奪い合いをしても仕方がない

都市であれ、農村地区であれ、いかにお金を使ってもらえるかの視点も大切であるし、都市農村交流も進める必要があると指摘されました。

関係人口の考え方に、その地域の継続的に関わる人、定期的に来られる方も含まれ、「観光以上、定住未満」という位置づけが考えられます。

さらに、ともに作業するという考え方もあり、関係人口の中でも役割を設けても良いのではないかと提案されました。

限られた担い手を共有する。シェアするという視点が大切で、消費活動やふるさと納税など現地での購買によりお金を落とすという考えと、現地にいってプロジェクトにかかわるという視点で進むべきだと提案もされました。

難しく考えずやりたい人がやるという発想も大切で人口が増えない事を嘆くより、減る事を前提に物事を考える必要があると提案されました。

また関係人口の候補者として、転勤や進学で住んだことのある人、繰り返し訪れるリピーターなどこれまでつながったことのある方の資源が大切だと提案されいています。

ゼロから無理やり創出しなくてもよいし、関係人口が生まれる新しいインフラも必要となってきま

す。

また関係人口案内所(ゲストハウス・カフェ・シェアハウス)などで必要な関係人口案内人を中心としたコミュニティの醸成も必要となってくるのではないでしょうか。

公共交通機関などは車離れの若者で鉄道を中心に「てっちゃん」と呼ばれるファンを集めてコミュニティの育成、ネット環境を駆使した取り組みの必要性も伝えられました。

さらに近くの「関係人口」に目を向け、通う以外のかかわり方も検討する必要があると説明されました。

結局は「人」が楽しく魅力的な方が多ければ多いほど魅力的な地域となり活性化する。

時代も変革し、「つながりが欲しい」「地域と関わりたいという人」がいて、それを生かすかどうかは大人次第であり若者を育てていくことが大切だと提案されました。

 

一般報告
山形市長 佐藤孝弘氏
『ビジョンを生かしたまちづくり~「選ばれる山形市」を目指して~』

 市長は、ビジョンと具体的な施策のリンクにこだわり続けてこられました。「健康医療先進都市」「文化創造都市」を2大ビジョンとして施策展開を行ってこられました。

医療と健康における強みを生かし、東北で初となる次世代型重粒子線がん治療が開始する等の取組みがスタートされました。

健康では歩くという事をキーワードとしてスクスク生活を推進。保健所内にシンクタンクを設置し医師などの専門職の知見を活かしながら進められています。

そんな中で力を注いでいるのが「ウォーカブルな「まちづくり」」。「歩く事が基本」で車社会の側面が強く故の取組みとなります。

スマホアプリで歩数によって「健康ポイント」がたまるシステムです。

歩く事によって楽しみながら健康づくりをすすめようとするものです。山形は雪国ですので冬のウォーキングは制約されます。

その対策で消雪歩道の整備を進めたようです。

脱・車社会のために公共交通の再生にも力注がれました。自家用車に頼らなくても公共交通を利用する事で誰

もが快適に移動できる環境づくりを目指し、ネットワークの構築や乗り換え場所の拠点整備に取り組まれました。

鉄道駅やバス停などのない地域ではタクシーを活用した新しいコミュニティ交通のモデル事業も開始されました。「徒歩+自転車+公共交通・コミュニティ交通」を組み合わせた脱車社会を目指す取り組みです。

また、山形国際ドキュメンタリー映画祭を隔年で開催し、文化創造に力を注いでいます。

日本全国からファンや関係者が集まるようになったようです。

いずれにしても将来ビジョンと結び付けた政策を展開していこうとされています。

 

一般報告

「交流の産業化」を支える景観「まちづくり」~長崎市景観専門監の取組み~

一般社団法人地域力想像デザインセンター代表理事 高尾忠志氏

 

 高尾氏は、一人官学民連携であると自負さえれているようです。

土木専門で景観を担当し、田上市長より景観専門監として任命されました。10年続けて気づくこともあり、次の「まちづくり」へのきっかけとなればと引き受けました。

身分は非常勤職員として、長崎市の公共デザインの指導管理を担っています。長崎を訪れた皆様が来てよかったなと思える体験に創出できないか、貢献できないかと職員と議論を重ねてきました。

求められえる価値には、①生理的欲求②安全の欲求③社会的欲求④承認欲求⑤自己実現欲求があり、①②のような「低次の欲求」が満たされると③④⑤の「高次の欲求」が芽生えるといわれています。

そんな中、交流産業で食べていける「まち」をめざして取り組まれています。

まずは、「長崎に行ったら体験できるものを長崎は持っているか?」がテーマとなりました。9年間で100回以上の監修が入り年度当初に関係課とヒアリングを進めました。

さらに部署に属していないので、各課より相談があれば随時対応する形態をとりました。

さらに現場で協議を必須としたようです。そのさい決められた予算内で行う事を大前提にすすめ、市民ワークショップなども開催し事業をすすめてきました。

1.平和公園の整備について

過去の議論・経過を踏まえつつ未来へつなぐことを目標に進められました。平和公園関係で30か所の事業に取り組まれました。手を入れた後に完成度が高まる事を目標にされました。また低予算で知恵を出し合えば必ず実現できるとの思いもあったようです。

2.鍋冠山展望台のバリアフリー化

改善前はスロープだらけで、バリアフリーにすれば良いってだけの発想で作られたと考えてしまったようです。

そこで、現場で職員さんや市民の皆さんなど良いところを探しながら発想を広げていった取り組みの一つとなりました。

  3.稲佐山山頂電波塔ライトアップ

コンセプトは「地域に根差したプロジェクトへ」としたようです。京都の大文字送り火を発想に事業を展開。

稲佐山を見上げる市民が増えてきたようです。故郷を思い出すような整備を心掛けたようです。また、部分から全体に働きかけることを心掛け行政では一気にできない事を踏まえながらその議論の積み重ねが大切だと考えられ取り組まれました。

4.町中夜景景観整備事業・長崎駅周辺整備

長崎市は平地の少ない土地です。夜景も本当にきれいです。その夜景を壊すことのないように駅自体も風景を損なわないような整備がすすめられたようです。

 

こうした景観専門監として職員、市民と意見を交わしながら、歴史を損なうことなく長崎の「まちづくり」が進められています。

 

 

パネルディスカッション

令和4年10月14日 午前8時30分頃長崎県長崎市尾上町4−1出島メッセ長崎へ到着。

パネルディスカッションは『個性を活かして「選ばれる」「まちづくり」~何度も訪れたい場所になるために~」と題して行われました。

 

コーディネーター
東京都立大学法学部教授 大杉  覚氏

 

パネリスト

ゆとり研究所所長   野口 智子氏

山梨大学生命環境学部教授  田中  敦氏

NPO法人長崎コンプラドール理事長  桐野 耕一氏

岐阜県飛騨市長  都竹 淳也氏

兵庫県伊丹市長  藤原 保幸氏

 

 大杉氏より、選ばれる都市とは?訪れる 都市を主体に認定したテーマであり、人が移動する都市は?選択の基準は何なのか?町の魅力とはなにか?を考える機会にしたい。物質的欲求から高次欲求へ変化してきたと高尾さんもおっしゃった。求める精神的欲求も変化してきた。幸せづくりとは、訪れる方の幸せづくりとは?頭の片隅に置いてお話ししてもらいたいと提案されました。

 

 

 

 

 

 

①『人が人を磨き、輝く人が人を呼ぶ~「雲仙人プロジェクト」の試み~』
ゆとり研究所所長 野口 智子氏

 

 人材育成が対策である。雲仙市42,000人の人口で当初はうまく繋がっていないという印象があったそうですが逆に繋がるとパワーアップしそうという直感もあったようです。

そこで「雲仙人プロジェクト」と題して取り組みがスタートされました。サロンを開催し始めました。

そこで意識したのは、市役所の会議室を使ってはダメ。会議室では会議しかできなくなるという思いもあったようです。

そこで伝統野菜を大切にする取り組みの中で、旅館の畑を活用した取り組みが企画されました。

近くて何をしているか知っている様で知らない事も発見でき、知る事からスタート出来る取り組みの一つとなったようです。

紀の川市での取組みも紹介されました。

紀の川市は果物の産地で、観光地という視点はなかったようです。フルーツツーリズムをしようとワークショップを開催。100名以上の参加で、それぞれ自分たちで出来る事を考えてもらった。特別な事ではなく普段の趣味の中から地域を意識する事が大切だと提案されました。

 

②『ワーケーションの意味の拡張と変異』
山梨大学生命環境学部教授 地域社会システム学科教授  田中  敦氏

 

 ※マイクの調子も悪く、聞こえずらく、まとめることが困難でした。

よって、レジメの柱を掲載いたします。

・ワーケーションの発祥と国内での知名度の高まり

・日本型ワーケーションの出現と分類

・日本型ワーケーションの拡張と変異

(1) 盛り上がりを欠く企業側の制度導入の機運

(2) 観光庁のワーケーションの目的、射程の変化

(3) 地域における多様で複合的な推進施策と関連数複数の省庁や多様な施策

ワーケーション=「仕事(work)と休暇(vacation)を組み合わせて欧米発の造語です。

テレワークの活用などにより職場と異なる場所で働きながら休暇の取得を行うものという考え方。

 

③『人は人に会いに行く!~「まち歩き」でみつけた“まちのつくり方”~』
NPO法人長崎コンプラドール理事長  桐野 耕一氏

 「長崎さるく博」を開催されました。なぜ歩くのか?長崎は観光地であると自負していたようです。しかし1990年の旅博覧会以降右肩下がりで観光客が減少していきました。

強い危機感の中、行政観光関係者以外も危機感を持つようになったようです。そんな中で「何とかしたい」と考え、「お金がなくても人を呼ぶ方法」を検討し始めました。

まず、長崎市民が長崎を自慢しよう。誰がするの?それは市民でしょ。一種の「賭け」だったと振り返られました。

長崎は交流の遺伝子は基本的には持っていたと考えています。まず始めたのは、暮らしの営みを案内するようにしました。500人近い市民ガイドが誕生。相乗効果でガイド自身も我が町の良さが再確認できるようになったようです。

まちぶらプロジェクトを通じて行政が担う取り組みも重要だが新しい事業を進めるためにまちの営みに根差した方々の登用は重要である。とまとめられました。

 

④『人口減少先進地の挑戦~ファンと共に取り組むまちづくり~』
岐阜県飛騨市長 都竹 淳也氏

 2017年飛騨ファンクラブの取り組みをスタートさせました。5年半で1万人のファンが登録され現在では東京・大阪などで「ファンの集い」が開催され交流を深めているとの事です。

参加者からは「飛騨市に来るネタが欲しい」というご意見から「お出かけファンクラブ」が企画されたりしました。

ファンクラブ入会のメリットも沢山あり、ふるさと納税に繋がったりし、毎回集いに参加されていた方が飛騨に移住されたことなども報告されました。

我々新政クラブは、2018年10月23日に飛騨市を訪れ「ドローンパーク」の取組みについて視察をさせていただきました。

その際、「飛騨市ファンクラブ」に入会しており、定期的に発行物が届いたりしています。

 

⑤『清酒発祥の地・伊丹~酒と文化が薫るまち~』
兵庫県伊丹市長 藤原 保幸氏

 伊丹市は清酒発祥の町。歴史をアピールしたい。他所から来られた方が「伊丹」を知らないという現実があったようです。

伊丹大使制度も創設し田中投手や南野陽子さん、有村架純さん等芸能界などで活躍している方に協力をお願いしたようです。

中身の努力は必要ですが、著名人の力を借りて「まちづくり」を進める事も大切だと提案されたように思います。